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2013ツール・ド・イストリア(UCI ジュニアネイションズカップ)大会速報

ジュニア強化育成部会 柿木孝之氏

坂井田理事長ブログ「理事長・サカちゃんのブログ」 http://ameblo.jp/rijityou-sakachan/

■H25/04/21 第3ステージ

スタート前

第3ステージ

 ツールドイストリア第3ステージは長い登りはレース前半に1か所しかなく、アップダウンはあるものの平坦基調の106kmのコース設定。

 レーススタート同時に橋詰が落車するが,怪我もなくすぐに復帰。その直後に岡がパンク。登りまでに集団復帰し事なきを得る。前半の2.5kmの登りでは細かなアタックがかかり、フランス勢の動きに橋詰が反応し数名で抜け出し山岳ポイントを4位通過する。山本もその後の平坦で得意の逃げの展開に持ち込もうとアタックをかけ続けるが大きな逃げはなかなか許されない。

 40kmあたりでできたポーランドとフランスの2名の逃げに、ベルギー、オランダ、ノルウェー、カザフスタン、イタリアが合流し7名の先頭グループが形成される。このグループは強力で30秒から45秒の差で40kmほど逃げ続けたが、この日総合リーダーを抱えるイギリスを中心に、スロベニア、ロシア、デンマークらが組織的に追撃して吸収する。そこからノルウェーの選手がアタックして一気に30秒ほどタイム差をつけて逃げるが、集団は最後の集団スプリントに備えてペースを速めながら準備を始める。ラスト30kmは下り基調の平坦のため集団は50km/hから60km/hの高速でゴールの街プーラへ進んでいく。ラスト5kmあたりでスプリントに期待できる黒枝が道路の中央に置かれた工事の注意看板に60km/h近いスピードで衝突し落車してしまう。

 結局ゴールは80名以上の大集団でのスプリント。各チームの激しいゴール前の位置取り争いの中でラスト1kmのロータリーで良い場所を確保した横山、岡がスプリントに挑むが横山が9位、岡が12位とネイションズポイント獲得できるステージ6位には届かなかった。優勝はこの日チームで終始レースをコントロールして最後圧倒的なスプリント力をみせたノルウェーのHalvorsen Kristofferが優勝。

 腰を激しく打ちつけ起き上がれず救急車で病院へ運ばれた黒枝は、骨には異常はなく擦過傷ですんだ。ゴールは出来なかったが完走扱いとされた。

 この日は逃げが出来ても数チームが共同で集団コントロールしてゴールスプリントに持ち込もうとしているのをみて横山、岡はゴールスプリントに備えた。スプリントの柱となる黒枝をラスト5kmの落車で失ったのは痛かったが、横山、岡は終始集団前方に位置し、ゴール前の激しい位置取り争いにも当たり負けせず勝負できるところを見せた。

 今回は個人総合でもステージでもネイションズポイントは獲得することは出来なかったが、選手自身がこの世界のレベルで戦える感覚を持てたことは大きな収穫であった。日本のレースとは異なるコースの厳しさ、集団での位置取りの厳しさ、強豪国の選手のレベルの高さなどに接し、今後世界で戦うために必要なものが何かというものの一片でも感じ取ることが出来たと思う。来月のドイツでのネイションズカップ、トロフェオカールスベルグでも厳しいレースになるが、ネイションズポイント獲得を狙っていく。

1位 Halvorsen Kristoffer(ノルウェー)2時間34分35秒
2位 Minali Riccardo  (イタリア) 
3位 Pessotto Yuri(イタリア)
9位 横山航太(篠ノ井高校)
12位 岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)
58位 橋詰丈(昭和第一学園高校)
80位 吉田優樹(日本大学)
81位 山本大喜(榛生昇陽高校)
100位 黒枝咲夜(日出暘谷高校)

個人総合成績 
1位 Geoghegan Hart Teo(イギリス)7時間16分52秒
2位 Per David(スロベニア)2秒差 
3位 Strakhov Dmitry(ロシア) 8秒差
38位 岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)2分22秒差
45位 横山航太(篠ノ井高校)4分01秒差
57位 橋詰丈(昭和第一学園高校)5分44秒差
69位 黒枝咲夜(日出暘谷高校)8分30秒差
90位 吉田優樹(日本大学)20分28秒差
91位 山本大喜(榛生昇陽高校)20分52秒差


スタート風景

表彰式

■H25/04/20 第2ステージ

スタート前

第2ステージ

 ツールドイストリア第2ステージは90kmと距離は短いが、30km地点からの非常に危険な5kmほどの峠の下り道、その直後の3km,2kmと勾配のある登りで集団は大きくふるいにかけられる。さらに50km地点過ぎからの4kmの登り、そしてゴール前1.5kmからの登りとラスト500mは10%以上の勾配の石畳の壁坂ゴールが待ち構えており力の差がはっきり出る今大会のメインステージである。

 スタート直後に山本がドイツの選手と逃げるが集団も許さず、そのあとのカザフスタン2名のアタックが決まり集団は落ち着く。45秒開いたところからリーダーチームのスロベニアが集団をコントロールして落ち着いたペースで進んでいく。長い危険な下りでは集団は一列に伸び切り、さらに中切れが頻発する中で横山、岡の2名は10番手以内の場所をキープして下りきり、そのまま厳しい登りに入る。この下り、そして次の登りで集団はいくつもの集団に分かれ、山本、吉田、橋詰の3名は第5集団あたりでゴールを目指す形になる。

 横山、黒枝は最初の登りは先頭集団でクリアできたが2つ目の登りで遅れ、10数名の第2集団で前を追いかける。岡は人数を減らした20名ほどの先頭集団に残る。力勝負で残った先頭グループであったが、牽制して少しペースを落としたため、横山、黒枝を含む10名ほどの集団は先頭グループに復帰する。その後先頭集団はペースを落とすことはなかったが、1ステージで上位に入った選手複数名を含む第2集団20名ほどにも追いつかれて、中盤の4kmの登りで大きな50名ほどのメイン集団となる。

 そのまま大きな逃げはなく後半からスロベニアのコントロールでレースは進み最後の石畳の登りでの力勝負となると思われたが、ラスト5kmの何でもないところで横山が脚を攣ってしまい後退。そして集団の10番手あたりで位置取り良く石畳の登りに突入する準備をしていた岡がラスト1kmで他の選手と接触して落車。総合でも上位に入る大きなチャンスと区間のチャンスを失ってしまった。最後まで集団に残った黒枝が石畳の壁坂に10番手以内で入ることが出来たが、ここで強豪選手とのパワーの差を見せつけられ、27秒差の26位でゴールする。落車で大きく遅れてしまった岡は1分差、橋詰、山本、吉田のグループは20名以上の集団で4分以上遅れてゴール。

 今日はラスト5kmからゴールまでで個人総合成績20位以内のチャンスを全て失ってしまった。ただ例年集団走行に苦しむ日本選手が多いが、岡、横山はヨーロッパの密度の濃い集団に問題なく対応し、どこのチームも前に行きたがる危険個所区間でもしっかり前をキープできる技術は頼もしい。そして岡が昨日は逃げに乗りながら最後に遅れてしまったが、今日は力勝負となる登りでしっかり余裕を持って20名以下となった先頭グループに残り、最後は落車したもののこれからのレースへの可能性をみせてくれた。

 21日の第3ステージは平坦基調であるが、総合上位陣も大きなタイム差ではなく、昨年のように激しいアタック合戦のレースになることが予想される。ネイションズポイントの獲得できるステージ6位以内を狙い勝負していきたい。

1位 Geoghegan Hart(イギリス)2時間28分57秒
2位 Touze Damien (フランス) 
3位 Schlemmer Lukas(オーストリア)
26位 黒枝咲夜(日出暘谷高校)27秒差
40位 岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)1分差
46位 横山航太(篠ノ井高校)2分39秒差
58位 橋詰丈(昭和第一学園高校)4分22秒差
62位 吉田優樹(日本大学)
67位 山本大喜(榛生昇陽高校)5分46秒差


のぼりでばらける集団後方

最後の石畳の壁坂を登る橋詰選手らの集団

■H25/04/19 第1ステージ

スタート前

第1ステージ

 2013年度のJCFジュニアロードヨーロッパ遠征の1つ、UCIジュニアネイションズカップツールドイストリアが19日から始まり、昨年と同じく世界のトップジュニア21か国126名がクロアチアのイストリア半島に集結した。

 日本ナショナルチームはアジア選にも参加した横山航太(篠ノ井高校)、黒枝咲夜(日出暘谷高校)、山本大喜(榛生昇陽高校)、吉田優樹(日本大学)の4名に、岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)と橋詰丈(昭和第一学園高校)の6名。

 第1ステージは97kmのコースで、レース後半の2箇所の2kmの登りがあるものの昨年同様スプリンターにチャンスがあると思われた。

 レース前半はドイツ、イタリア、デンマークを中心に2,3名のアタックが多くかかるものの集団が一列に伸びる時間は長くはない。横山、岡、橋詰は集団前方をキープしており、特に横山、岡は昨年の遠征の経験を十分生かしている。40km過ぎに10数名の落車が起こり、黒枝、吉田、山本がここに引っかかる。黒枝は集団復帰できたが、吉田、山本は大きく遅れここから2人でゴールを目指す。

 集団では最初の2kmの登りで大きく動きがあり20名弱が抜け出し、日本チームからは岡がここに入る。非常に速いリズムで集団との差をジワジワ広げていく。数名が遅れ15名となった先頭集団はさらにペースを速め、2箇所目の登りに入っていく。この登りを超えたらゴールまで平坦なので岡にもチャンスがあったが、岡がこの登りの最後の最後で遅れてしまい、横山、橋詰、黒枝らを含むメイン集団に吸収される。メイン集団も人数を減らしていく中で、路面の悪い下りで黒枝が再び落車、橋詰はパンクで遅れてしまう。ラスト15kmで先頭14名と50名ほどの横山、岡のメイングループとは20秒差と、まとまって追えば追いつくタイム差であったが、有力チームは全て前に乗っておりメイングループは追走の意思統一が出来ずタイム差が広がっていく。結局そのまま先頭グループは逃げ切り、統率のとれない横山のグループはラスト1kmで橋詰を含む30名ほどの第3グループと一緒になりゴール。

 優勝は激しい先頭グループ内のアタック合戦から抜け出したスロベニアのPer Davidが1秒差で逃げ切り優勝。

 20日の第2ステージは登りが長く勾配もあり、ゴールは石畳の壁坂400mにあり、総合成績が大きく動くステージとなる。日本チームとしては3選手がネイションズポイント獲得の可能性のある総合20位以内を狙える位置におり、明日の厳しいステージで上位を狙いたい。

1位 Per David (スロベニア)
2位 Pessotto Yuri(イタリア) 1秒差
3位 Geoghegan Hart(イギリス)
29位 横山航太(篠ノ井高校)1分8秒差
48位 岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)
75位 橋詰丈(昭和第一学園高校)
105位 黒枝咲夜(日出暘谷高校) 7分49秒差
121位 山本大喜(榛生昇陽高校)15分52秒差
122位 吉田優樹(日本大学)


第1ステージ中盤のメイン集団

■H25/04/18 練習

 ジュニアロードナショナルチームは、ジュニアネイションズカップのツール・ド・イストリアに参加するため4月16日に日本を出発しクロアチアに向かいました。現地時間の4月16日の夜にクロアチア・ザグレブに入り、翌4月17日にザグレブから第1ステージのスタート地点であるイストラ半島のロヴィニィに移動しました。移動後は、第3ステージのコースの下見とロード練習を行いました。

 本日、4月18日は第1ステージと第2ステージのコースの下見とロード練習を行いました。こちらは、昼間は気温が30度ぐらいまで上がり初夏の陽気です。選手はコンディションも良さそうで、明日からの大会の頑張りに期待したいと思います。

■監督
柿木孝之(ジュニア強化育成部会)
■コーチ
坂井田米治(ジュニア強化育成部会長)
■メカニック
山脇靖宏(ジュニア強化育成部会)
■選手
黒枝咲哉(大分・日出暘谷高校)
吉田優樹(福島・日本大学)
横山航太(長野・篠ノ井高校)
山本大喜(奈良・榛生昇陽高校)
岡篤志(茨城・キャノンデール・チャンピオンシステム)
橋詰丈(東京・昭和第一学園高校)


集合写真

練習風景