H28全国高校合宿
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■1日目(12/23)
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本日より4泊5日の日程で年末恒例の全国高体連トラック合宿が静岡県の伊豆ベロドロームで始まった。 参加選手は全国各ブロック合宿等から推薦された男子30名で、指導陣は坂井田理事長をはじめ、専門部強化育成部会員に支援スタッフを加えた10名で臨む。 合宿の目的は、国際大会を目指す選手の育成と、普段走行経験のない室内250mバンクの走行技術を高めることを目的としている。 全国各地から集まった選手が、互いにライバル意識をもち、自分の競技力をより高められる合宿になることを期待したい。 ■開講式 … 15:30〜 伊豆ベロドローム内にある研修室で行われた。 坂井田理事長、強化育成部会の大野部会長よりあいさつをいただき、指導者の紹介、合宿の日程について説明を行った。 |
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■栄養学講習・・・ 15:45〜17:30 JCF医科学スタッフの小清水孝子先生から「自転車競技選手としての食事の基本」と題してご講義いただいた。以下にその一部をまとめる。 1)自転車競技選手として強くなるためにはトレーニングを行うことは当然であるが、コンディションを維持するための食事と睡眠も重要なことである。中でも食事は食べ物の種類や量、食べるタイミングを自分で意識してコントロールしなければならない。 2)外食やコンビニの食事のとき、偏った食事ならないように注意して、主食、主菜、副菜などのバランスのとれた食品を選ぶことが重要である。 3)食事で足りないエネルギーは補食で補う必要がある。補食は、どんなものを、どのようなタイミングで摂取するかが重要。例えば、運動直後はなるべく早い糖質補給がグリコーゲンの回復につながる。またタンパク質と糖質を一緒に摂るとタンパク質合成が高まり、グリコーゲンの回復に効果がある。 4)筋肉をつけるためには、タンパク質が多量に必要といわれるが、過剰に摂りすぎてもタンパク質合成にならず体脂肪が増えてしまったり、分解し処理するために肝臓や腎臓への負担につながったりする。食事で栄養素バランスが整っており、摂取目安量が満たされていれば十分である。それよりも運動後なるべく早く摂取することが大事であると指摘された。 5)サプリメントは、どうしても食事で摂取できない時に使用するもので、過剰摂取を避けること。海外の製品の約15%にドーピング禁止物質が含まれている事実があるので、JADA認定マークや成分名を確認してうっかりドーピングにならないよう注意すること。 |
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■夕食 19:00〜19:30 栄養講習を受け早速夕食で実践。合宿最初の食事である。バランスのとれたボリュームある食事をしっかり食べ、明日からのトレーニングに備える。 |
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■心理サポート講習 20:00〜21:00 順天堂大学の山田泰行先生による心理サポート講習で、「かっこ悪く勝つためのサイエンスミーティング」と題して、心のメダルを回す!PDCAサイクル活用術について講義をうけた。 コンセプトは、どれだけ勝利を重ねても泥臭く、汗臭くかっこ悪い挑戦者の顔を忘れないために、競技に対してどう向き合うかのメンタルマネージメントについての内容。 ねらいは、記録が向上するときの心の法則を理解し、自分が苦手とするポイントを整理することにある。日々のトレーニングを振り返り、次にどうすればよいか自分で考え行動できる選手を目指してほしいという期待が込められている。 まず、ワークで用意された質問に答え、点数化してグラフにしてみる。そして自分がどのようなタイプの人間であるか理解した。 勉強でもスポーツでも成長できる人は、日々の活動を振り返り、自己分析ができ、アイデアや工夫をして次へ挑戦することができる人である。タイプに多いのは、行動と結果には興味があるが、結果を分析して次にどうすればよいかの疑問を、指導者に任せてはいないかということ。ステップアップするためには、フィジカルとメンタルの両面から鍛えるポイントがありそうだ。選手たちは普段あまり考えたことのない分野の話を興味深くきいた。 |
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■2日目(12/24) | ||
■ 起床・体操・散歩 6:30〜 合宿2日目は晴天、昨日までの強風もなく穏やかな朝だ。空気も澄んで遠くの富士山が美しく映える。体操とベロドローム外周の散歩を行う。体調確認後、朝食をとる。 |
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■ 10分間走 1列走行 8:30〜 初めての250mバンクを走行する選手が多いため、まずはバンクに慣れるため1列走行でウォーミングアップ。ギアは49×15、A,B班の別々で実施。 ■15分間走 2列走行1セット ギア49×15 9:00〜 2列並走周回練習。A,B2班に分かれて実施。ステアラインを挟み内外2列走行する。外列はアウト交替、内列はイン交替。スピードの加減速や、前後の車間を意識し、安定したペースで集団走行を行う。 |
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■ 20分間走 2列走行3セット ギア49×14 10:00〜11:30 ギアを上げて3セット行う。徐々に慣れてきたので後半ペースを上げる。2班同時に実施。 選手たちは徐々に250m走路に慣れ、隊列の乱れも少なくなってきた。 |
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午後333走路でのトレーニング 午後からは日本競輪学校の333走路に移動して行う。気温11℃と寒いが、風もなく穏やかで日差しが温かい。 ■ 20分走 (2列集団走行練習) 13:45〜 2班に分かれて、2列の集団走行練習を行う。ギアは49×15、時間は20分。ペースは35〜45km/h程度。 |
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■スタンディングスタート500mタイム計測 1本目49×15、 2本目50×15 14:50〜15:50 スタンディングスタート500m×3本。0発進から一気に加速してトップスピードにして500m走行する。 ■フライング2周(666m)1周-0.5周-0.5周×3本 (50×15) 14:50〜16:10 1チーム3人で編成し、チームでフライング2周する。1走者は1周、2,3走者は半周ずつ走り離脱するチームスプリント形式で行う。チーム内でローテーションして合計3本行う。 |
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■ 補強運動 16:15〜 練習の最後に補強運動ということで、手押し車を行った。2人組で333走路外周を半周ずつを行った。普段あまりしていない種目のためか、みんなつらそうだった。 |
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■ 心理サポート講習会 20:00〜 山田泰行先生(順天堂大学) 夕食後、昨日に続いて山田先生に心理サポートの講義をしていただいた。今日は世間ではクリスマスイブあるが、そんなイブの夜に考えるには少々つらいテーマである。「なぜ自分はナショナルチームに入れなかったのか?」という問いに向き合い、悪い習慣を振り返り「なぜ、〜〜をしなかったのか」、「あのとき〜〜をしておけば」を深く掘り下げる作業。昨日の講義で指摘された、「考える、分析する」を実践してみる。突き詰めると自分の行動を制限する悪者(もしかすると良い結果の根源にもなる)にたどり着く。その根源のままだと今までと変わらないが、これにもう一つ別の考えや行動を追加することで、悪い循環から抜け出すきっかけになるかもしれないとのこと。 日々のトレーニングや大会の後、このような振り返りを行い、次のトレーニングや日々の習慣を修正することでブレイクスルーのタイミングも訪れるかもしれない。とにかく、自分のことを冷静に分析したり、他者からの評価を受け入れ、振り返りと修正を繰り返さないと次の成長に繋がらないということだ。選手諸君のさらなる飛躍のカギは、自分の心の嫌な部分を避けては通れない。反対にいい所も逃さずチャンスにしなくてはいけない。いろいろなことを気づかせてくれた。 |
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■3日目(12/25) | ||
■ 起床・体操・散歩 6:30〜
6:30から体操とベロドローム外周1周の散歩。今朝の天候は曇り、散歩の足取りもまだ軽やかだ。 ■ 補強運動 8:00〜 体幹トレーニング補強運動を実施した。 |
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■ ウォーミングアップ 15分間走 ギア50×15 8:30〜 250m走路2日目の練習が始まった。各選手とも徐々に走路にも慣れてきたようだ。 ■ F1000m×4 TS形式 ギア50×14 9:00〜 本格的なスピード練習が始まる。 各班4〜5名で実施。2周の助走後、チームスプリント方式で4周走行する。チーム内で走行順をローテーションして4本実施。 ■ F1000m×2 11:00〜 ギア:50×14 各班4〜5名で実施。2周の助走後、1周ごとに先頭交代して4周走行する。ハンドルをDHハンドルに変えて行った。やや疲労が出てくる選手もいた。 |
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午後の練習は333m走路で実施。 ■ 20分間走 ギア49×15 14:00〜 1班6〜8人、DHハンドルで周回練習。ペースは35〜50km/hで徐々に上げてウォーミングアップを行った。 ■ F1000m×4本 TP形式 ギア49×14 15:00〜 フライング1000mを7班(各班4名)に分かれて実施。ギアは49×14でDHハンドルを使用。半周ずつ先頭交代しながら1000m(3周)のタイム計測する。午後になり疲れがでてきた選手もいるようで、途中バラバラになってしまうチームもあった。 |
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■ 補強運動 16:00〜 333m走路のスタンドの階段を利用して、昨日に続いて手押し車を行った。 |
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■ ウエイトトレーニングと競技ルール講習 20:00〜 明日予定されているウエイトトレーニングについて専門部強化育成部会の百々先生より講義をしていただいた。自転車競技において、より大きな力でペダルを踏み高回転してスピード高めるには、筋力をつけ瞬間的に発揮するパワーを大きくする能力が必要だ。そのためにはウエイトトレーニングは重要なトレーニングの一つである。各校の日々のトレーニングでは考え方や設備が整っていないなど様々な状況があり、実施していない学校もある。しかし、さらなるレベルを図るためには必要なトレーニングであることはまちがいない。 本講習では明日行う実践に向けてウエイトトレーニングの基礎知識と各種目の説明をしていただいた。 また、専門部競技運営部会の是永先生より明日の模擬レースの準備としてルール講習会を行った。今年10月に改正されたケイリンのルール変更点について、映像を見ながらていねいに説明をしていただいた。ルールをしっかり理解してミスのないフェアなレースを心掛けてほしい。 |
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■4日目(12/26)
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午前 ベロドローム250m走路 ■補強トレーニング ウォーミングアップの前に体幹トレーニングを行った。 ■15分間走 8:30〜 DHハンドル使用 ギア:50×15 メイン練習の4〜5名の各班で15分間の周回練習。ギアはグループAの4班は49×15、グループBの3班は48×15に設定。合宿4日目で疲れがでているが、250m走路にも慣れてきて、スムーズな走行・先頭交代ができている。 ■F2000m×2 9:15〜 ギア50×14 4〜5人の計7班を編成してF2000m×2本、1周ずつ先頭交代して行う。 途中でバラバラになってしまう班もあった。かなり疲労がでている選手もいる模様。 ■模擬レース 予選・決勝ラウンド 新ルールの下でケイリンの模擬レースを行う。 (1) 競走の総周回は6周、ペーサは残り3周の中央線で50km/hまであげて離脱する。 (2)スタートは、抽選で並んだスタート順の通りにペーサの後ろに隊列をつくる。 (3)離脱前、後方のライダーはペーサの前輪前端を超してはならない。 以上のような変更点を確認して模擬レースを行った。 予選と順位決定戦と一人が2本レースに参加が特に混乱する場面はなかった。しかし、離脱後の競走距離が長くなり、ややペースダウンしながらけん制する様子も見られた。 ■ ウェイトトレーニング 14:00 ウェイトトレーニング種目として、スクワット、デッドリフト、ベントオーバーローイング、腹筋、懸垂の5種目を8班に分かれて行った。今日のトレーニングでは、まずは各種目の動作を覚えて正しいフォームで行うことを意識した。 選手たちの様子を見て気になったのは、上半身の筋力が弱いところだ。特に懸垂ができない選手が多かったところだ。自転車競技は機材を扱うスポーツである。その機材を上手にコントロールするのは乗車しているライダーのフィジカルとスキルである。まずは自転車をしっかり乗りこなせる強いフィジカルとバランスの向上を目指してほしい。■夕食 19:00〜 合宿最後の夕食である。本日もたんぱく質が豊富な栄養満点メニューだ。 選手相互の会話もはずみ、笑顔も見えてきた。終盤になって打ち解けた雰囲気になってきた。合宿も残りわずか、最後までいい緊張を保ってトレーニングに向かってほしい。 ■競技規則講習会 20:00〜 夕食後、合宿の日程で最後の講習会を行った。昨日に引き続き競技運営部会の是永先生に競技規則について講義していただいた。特に高校生に多いルール違反に着目し、アニメーションや映像を使って説明をしていただいた。ケーススタディーとして、昼間行なった模擬レースも視聴しがら気になる走行について意見交換した。 選手は故意でないが、思わず違反走行している場面もある。多くの場合は、自己の走行ラインを無意識に走行したり、力んだ瞬間にバイクコントロールがうまくいかないといったケースである。自分の不注意のために警告や降格になったり、重大な事故をもたすことがないよう、安全で上手な走り方を習得してもらいたい。 |
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■5日目(12/27) | ||
■起床・部屋清掃 6:30〜 最終日の朝を迎えた。今朝は雨天のため散歩と体操を止め、荷物のまとめと部屋の清掃を行った。 ■補強トレーニング 8:00〜 いつものルーティンから午前のトレーニングが始まる。 ■20分間走 8:30〜 2列並走周回練習。A,B2班に分かれて実施。ステアラインを挟み内外2列で走行する。ペースは前半は35km/h程度、後半は50km/h程度まで上げて終了。250m走路にもだいぶん慣れて、隊列の乱れもなく、きれいな走行ができるようになった。 ■実戦練習 9:00〜 本日は全員がポイントレースの模擬レースを行う。A,B班に分けて、距離15km・60周回でレースを実施。 それぞれが自分の実力を試そうと、タイミングをみて次々にアタックを試みる。積極的な走りはレースを活性化させるので見ていてもおもしろい。昨日からの講習会で学んだルールも意識した走行が実践でき、違反走行や落車事故もなく、無事に終了した。 ■ウォーキングダッシュ1周 10:30〜 模擬レースのあと、ウォーキングダッシュ1周を5本行った。これで合宿のすべてのメニューが終了。 この後、自転車の梱包、清掃を行い、トレーニング日誌を記入して閉講式を行った。 短い期間ではあったが、終盤になって選手どうしの会話もはずみ、が交流が深まった、また、普段は経験できないトレーニングや講習会もあり、内容の濃い充実した合宿であった。何よりも天気に恵まれ予定通りに日程が消化できたことと落車事故などのケガもなく終えたことが良かった。各選手の今後のさらなるレベル向上、そして全国大会や国際大会での活躍に期待したい。 |
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