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2009年 第15回日韓対抗学生自転車競技大会 レポート

 2009年11月2日(月)、大韓民国 全羅北道 全州市自転車競技場で今年の日韓対抗学生自転車競技大会が開催されました。ここでは、現地での高体連選手の活躍を中心にレポートします。

 試合当日の朝、韓国では今シーズン一番の寒さに見舞われ、時折小雪が舞う空模様で気温は摂氏零度から5度ぐらいでした。そんな中、午前7時20分に滞在先のホテルを出発し競技場に向かいました。到着した競技場は周長が333mでセメント舗装の野外競技場で、セメント走路の白い色がさらに寒さを助長しているようでした。そんな中、選手は準備をして練習に入りましたが、どの選手も本当に寒そうに走っていました。

 午前9時に競技が開始されましたが、この時点でも気温は摂氏5度というコンディションでした。最初の競技は個人追抜競走です。高校生の部には、この種目インターハイチャンピオンの矢野君(岐阜県・岐南工)とジュニア世界選手権ポイントレース銀メダルの元砂君(奈良県・榛生昇陽高)の2名が出場しましたが、寒さでタイムも伸びず平凡な記録に終わり、3分50秒798を出した韓国の選手が1位となりました。女子の部には、ジュニア世界選手権ポイントレース銅メダルの上野さん(青森県・八戸工)が出場し、上野さんとしては平凡なタイムながら2分45秒572で優勝しました。

 この後、バンク内で開会式が行われました。開会宣言とともに寒空に花火が打ち上げられ、粛々とセレモニーが実施されました。

 開会終了後、最初の種目はスプリント1/2決勝です。昨日、予選の200mフライングタイムトライアルが行われ、高校生の部ではインターハイ1kmタイムトライアルチャンピオンの末木君(山梨県・甲府工)が11秒559で第1位、インターハイスプリントチャンピオンの伊藤君(三重県・朝明高)が11秒882で第4位となり、この日本チームの選手2名が1/2決勝で対戦する組み合わせになりました。結果は末木君が2回戦とも勝利し、勝った末木君は決勝へ、敗れた伊藤君は3・4位決定戦に進みました。次は女子500mタイムトライアルです。今回、女子については高校・大学の区別が無く女子の部として実施されており、この種目には高校から全国選抜大会優勝の野村さん(石川県・内灘高)と大学からこの種目のジュニア日本記録保持者の前田さん(鹿屋体大)が出場し、前田さんが38秒520で優勝、野村さんは40秒645で第4位となりました。この頃には天候も回復し、雲の切れ間から日も差してきましたが寒さは相変わらずでした。次は高校生の1kmタイムトライアルです。高校生の部にはスプリントと同様に末木君と伊藤君が出場しました。寒い中、コンディションも良くなくタイムは伸びませんでしたが、末木君が1分13秒460で優勝、伊藤君は1分15秒161で第4位という記録でした。競技終了後、すぐにこれまでに終了した種目の表彰式が行われました。

 表彰式の後は昼休みです。日本では大会中の昼食と言えば弁当ですが、こちらでは選手・監督・役員全員が車でレストランに出かけ昼食を取りました。出かけたのはビビンバとサムゲタンのお店でした。ビビンバはここ全州が本場で、日本でも最近は一般的に食べられますが本場の味はやはり美味しいものです。私はサムゲタンを頂きましたが、寒い競技場にいて冷えた体には本当に良いもので、体がよく温まりました。

 昼食を終えて、午後の最初の競技はスプリント順位決定戦です。高校生の部では、決勝戦で末木君が韓国選手に2対1で勝利し2種目目の優勝を果たしました。3・4位決定戦では、伊藤君も韓国選手に勝利し3位を確定させました。

 続いては団体種目です。各カテゴリーで実施種目が決まっており、高校生の部はチームスプリント、大学生の部は4kmチーム・パーシュート、女子の部はチームスプリントが行われます。最初は大学生の4kmチーム・パーシュートです。最後の1周まで接戦でしたが、僅かの差で韓国チームが勝利しました。続いて高校生のチームスプリントです。大学生の部で敗れていますので、ここは何とか勝利したいところです。日本チームは、伊藤・福田・末木の3名で並びはこの順です。スタート時、福田君が伊藤君の後ろでやや出遅れましたが持ち直し、その後韓国に僅かな差をつけられて推移し2走が走り終えたところでも少し差はありましたが3走の末木君が残り半周で逆転し僅かな差で日本チームが勝利しました。これで末木君は3種目で優勝を果たしました。女子の部は、前田・近藤の鹿屋体育大学コンビで臨みましたが、後半に逆転され韓国チームに敗れました。

 この後、休息をはさみケイリン決勝が行われました。ケイリンは日本も韓国も大学生が2名、高校生が1名の出走で合計6名のレースとなります。日本チームは、大学生から櫻井君(東北学院大)と石倉君(日本大)の2名、高体連からはインターハイケイリンチャンピオンの福田君(栃木県・作新学院)が出場しました。残り1周を先行した櫻井君がそのまま押し切り優勝、櫻井君を追走した石倉君が2位、さらにその後を追走した福田君が3位となり、日本人選手が表彰台を独占しました。

 最後は参加選手全員が出場する男女のポイントレースです。例年はこのポイントレースまでは対抗得点が競っており、優勝国はこのポイントレースで決まっていたようです。今年はここまで日本チームが圧倒的に有利で、ほぼ団体優勝を手中にしていました。まず女子の部が行われ、前半から積極的にポイントを重ねた上野さんが64点で優勝。2位には和田見さん(中京大)が57点で入りました。続いて行われた男子の部は、ラップが2回あり途中から選手がばらけてしまう展開で、その中で不可解なポイントの判定もあり、優勝かと思われた元砂君が2位となり優勝は韓国の大学生でした。

 以上で全ての競技が終了し、日も傾いて寒い中、表彰式と閉会式が行われました。午後に行われた種目の表彰終了後、団体総合の表彰があり日本チームが88点対65点で韓国チームに勝利し、優勝カップが日本高校生チームの徳地監督(奈良県・榛生昇陽高)に授与されました。続いて最優秀監督賞の表彰があり、日本女子チームの大野監督(青森県・八戸工)にクリスタルの楯が授与されました。さらに最優秀選手賞の表彰があり、3種目で優勝した日本高校生チームの末木君(山梨県・甲府工)にクリスタルの楯が授与されました。最後に全員で記念撮影があり、日韓の親善交流を目的とした今年の大会も大いなる成果のうちに終了しました。

今回、私は初めて日韓対抗戦に参加しましたが、韓国車連・韓国学連の自転車競技に取り組む意識は高く、関係者もとても熱意があり、この国際交流試合は今後も必要なのではないかと感じました。しかし、経済的な問題もあり継続してゆくことは本当に大変ですが、今後はさらに参加国も増え、何カ国かでの対抗戦に発展する方向にゆけば良いのではないかと思います。

この大会は来年日本での開催であり、高体連が主となって大阪府で開催の予定であります。来年のこの大会が無事に成功しますように、高体連・学連の皆さんをはじめ関係各方面の方々のご協力をよろしくお願いしたいと思います。

全国高体連自転車競技専門部 理事長 坂井田 米治 


全州ベロドーム

出場選手記念撮影

1kmTT-優勝 末木選手

1kmTT 表彰式 末木選手

2kmIPR-優勝 上野選手

女子ポイント_表彰式 上野選手

3kmIPR-2位 矢野選手

3kmIPR_表彰式_矢野/元砂選手

ケイリン_表彰式

ケイリン_レース風景

男子ポイント_2位 元砂選手

男子ポイント_表彰式


チームスプリント 優勝

チームスプリント 優勝

スプリント-優勝 末木選手

チームスプリント表彰式

スプリント_表彰式 末木選手

最優秀選手 末木選手
綜合表彰(優勝)

最優秀監督表彰 大野先生